治療法:
[取穴法] ・気海、関元、大赫、横骨、水道、三陰交、太谿。
・命門、腎兪、中膂兪、会陽、委陽。
[操作法] 二組の配穴を交互に使用し、毎回3〜4穴を使う。その中の気海と命門には桂枝餅灸(直接皮膚を焼かないのでやけどの痕は残りません)を3壮行なう。また関元・腎兪には針刺後桂枝餅灸を用いる。会陽・中膂兪に針刺して小腹および会陰部に向って針感を放散させる。
その他の穴位には提插捻転補法を採用する。毎回20分間置針、隔日に1回治療して10回を1治療行程とする。
結果:
[治療結果] 針灸組;顕著な効果例48.5%(50/103)、有効例39.8% (41/103)、無効例11.6%(12/103)。総有効率88.3%(91/103)
対照組;顕著な効果例6%(3/50)、有効例22%(11/50)、無効例72%(36/50)。総有効率28%(14/50)
[ウロダイナミクス] 尿道症候群は尿道圧が高いので、尿の流量率は低下し排尿時の最大膀胱圧と最大腹圧は増加する。針灸治療後はこれらの数値に改善がみられる。このことから針灸治療は、本病と関係ある過興奮ニューロンを抑制して尿道括約筋・骨盤低部の諸筋肉を弛緩させ、尿道の抵抗力を低下させる作用を行なっていることが分る。
[内分泌検査] 本病患者の治療前尿中cAMP・cGMPおよびコルチゾール含有量は正常人に比べて低く、補腎温陽の針灸治療を行なった後の含有量は顕著に上昇している(P<0.01〜0.005)。このことは、補腎温陽の針灸治療を通じて副腎皮質機能を高めそして内分泌活動を調節したことで実現したものであることを説明している。
参考論文:
上海中医薬雑誌,1996,(11):28;中国針灸,1997,(12):719;中医雑誌,1997,38(8):472;中医雑誌,2000,41(7):426;日本東医,1997,27(4):203。
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