中国針灸治療:バセドウ病・男性不妊症・針灸適応症全般
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泌尿器系の針灸治療
男性不妊 【目次】 Page1 Page2 Page3 Page4 Page5 Page6
第3章.不妊の診察

第3-4.内分泌検査
・ホルモンについて;下図4-1は視床下部-下垂体-精巣軸を表しており、このフィードバックシステムによってホルモン分泌が調節されています。ここに示されているホルモンは男性不妊の診断に重要な指標となるものですから、この図を使って紹介していきましょう。

図3-1:視床下部-下垂体-精巣軸
視床下部からGnRHが出て下垂体前葉へ作用してゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)つまりFSHとLHが分泌され、FSHは精巣のセルトリ細胞を刺激して精細胞発育を促進し、LHは精巣の間質にあるライデッィヒ細胞を刺激して男性ホルモン(テストステロン)を産生させます。図中のE2(エストラジオール)とは女性ホルモンであるエストロゲンの1種でライディッヒ細胞で作られたものでTとともに視床下部へ作用してGnRH,LH,FSHの分泌を抑制します;図中のインヒビンはセルトリ細胞から分泌されGnRH,LH,FSHの分泌を抑制します。その他、下垂体前葉から分泌されるプロラクチン(PRL)は催乳ホルモンであるが、ライディッヒ細胞を刺激してTの分泌を抑制するので臨床上重要な検査項目であります。以上紹介したホルモンの作用を表4-1にまとめておきましたので参考にして下さい。
表3-5:各ホルモンの作用

ホルモン

来源

作用
GnRH;性腺刺激ホルモン放出ホルモン 視床下部 FSH,LHを分泌するように下垂体を刺激する。
血中のT,E2濃度が高くなるとGnRH分泌は抑制される。
FSH;卵胞刺激ホルモン 下垂体前葉 精細管中のセルトリ細胞に作用して精子の産生を促進する。
視床下部ー下垂体に作用してGnRH,FSHの分泌を抑制する。
LH;黄体形成ホルモン 下垂体前葉 精巣にあるライディッヒ細胞を刺激してTの産生を促進する。
視床下部ー下垂体に作用してGnRH,LHの分泌を抑制する。
T;男性ホルモン、
テストステロン
ライディッヒ細胞 二次性徴を促進する。
セルトリ細胞へ行き精細胞の成長を援助する。副性器へ行き精液産生に関与する。
視床下部ー下垂体に作用してGnRH,LH,FSH分泌を抑制する。
E2;女性ホルモン、
エストラジオール
セルトリ細胞 視床下部ー下垂体に作用してGnRH,LH,FSH分泌を抑制する。
PRL;催乳ホルモン、 プロラクチン 下垂体前葉 ライディッヒ細胞を刺激してTの分泌を抑制する。
インヒビン セルトリ細胞 下垂体に作用しGnRH,LH,FSH分泌を抑制する。


・各ホルモンの正常値
 内分泌機能検査により視床下部・下垂体・精巣の機能を判断することができます。例えばT値が標準値以下の場合、精巣自身の障害による原発性精巣機能障害であるか、視床下部ー下垂体の障害による続発性精巣機能障害かをFSHとLHの値から判断することができます。つまりFSH,LHが高値なのに精巣自身がそれに反応せずT値が低いのは原発性精巣機能障害;反対にFSH,LHが低値で精巣を刺激できずT値が低いのは続発性精巣機能障害と判断できます。さらに詳しく調べるにはホルモン負荷試験があり、次項で紹介します。

表3-6:内分泌機能検査
表3-6:内分泌機能検査
・ホルモン負荷試験
 ホルモン負荷試験には、LH-RH負荷試験・HCG負荷試験・クロミフェン試験等があります。以下各試験について紹介します。

 LE-RH負荷試験;LH-RHとは黄体形成ホルモン放出ホルモンのことで下垂体を刺激して性腺刺激ホルモンを放出させる働きがあります。このLH-RHを静脈注射して120〜180分の間血中FSH,LHを測定する試験です。その目的はFSH,LHを放出する下垂体の機能を検査します。もし下垂体に障害があれば試験期間中FSH,LHの値は正常値以下を示し、下垂体機能が正常ならばFSH,LHの値は正常値を越えます。
 HCG負荷試験;hCGとはヒト絨毛性性腺刺激ホルモンを指し、LHと同様の作用がありライディッヒ細胞を刺激して男性ホルモンであるT(テストステロン)を産生します。このHCGを3000〜5000単位を3〜7日間連続して筋肉注射を行ない、連日或は負荷前後に血中のテストステロン濃度を測定してライディッヒ細胞の機能を検査するものです。もし原発性精巣機能障害によるライディッヒ細胞の機能低下があればT値濃度は正常値以下で変化を示さない、一方続発性精巣機能障害では負荷前の低値が次第に増加して正常値或はそれ以上になる。正常な場合は負荷後の値は負荷前値より2〜4倍増加します。
 クロミフェン試験;抗エストロゲン作用を持つクロミフェンを使って視床下部へのフィードバックシステムを遮断させ、FSH,LH分泌量を測定する。 目的は視床下部の機能を検査するものです。方法はクロミフェンを50〜100mg7日間連続経口投与して、投与前後のFSH,LH分泌量を測定する。FSHが1.5倍、LHが2倍以上になれば正常反応である。

表3-7:ホルモン負荷試験
試験名 対象部位 目的
LE-RH負荷試験 下垂体 下垂体を刺激して性腺刺激ホルモンであるFSH,LHの分泌を測定して下垂体機能障害をチェックする。
HCG負荷試験 ライディッヒ細胞 LHの作用を有するHCGによりライディッヒ細胞を刺激し血中の男性ホルモンTの分泌量測定を通じて精巣に機能障害があるかチェックする。
クロミフェン試験 視床下部 クロミフェンで負のフィードバックを遮断して、視床下部がGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を正常に分泌しているかチェックする。

4.精索静脈瘤診断
精索静脈瘤の診断は、立位での安静時と腹圧負荷時の両視触診で行なう。視触診で診断できる顕性静脈瘤に対しては1〜3度の分類(表4-1)があります。
 確定診断するには、静脈内血の逆流を観察するカラードップラー超音波断層法、陰嚢部皮膚温の上昇をみる赤外線サーモグラフィーなどがあります。
表4-1:精索静脈瘤の分類
分類 診断
1度 立位で腹圧負荷を加え、はじめて静脈の拡張を触知できる。
2度 立位で静脈の拡張を容易に触知できるが、視診では分らない。
3度 立位時に陰嚢皮膚を通して大きく怒張した静脈瘤が見え、
容易に触知できる。

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